WBC2023決勝  侍ジャパン VS アメリカ

スタメン

JAPANUSA
8ヌートバーベッツ9
9近藤トラウト8
DH大谷ゴールドシュミット3
7吉田正アレナド5
5村上シュワーバーDH
3岡本ターナー6
4山田リアルミュート2
6源田マリンズ7
2中村アンダーソン4
P今永ケリーP

 決勝の相手はアメリカ。普段メジャーの試合を観ない人でも名前を聞いたことがあるくらいの一流メジャーリーガーぞろい。先発の投手力にやや不安があるものの、リリーフ陣と野手は超強力。
 2番のトラウトは大谷のチームメイトで、通算の打率が3割越えの強打者。4番のアレナドは華麗な守備が持ち味で、MLB史上最多の6回のプラチナ・ゴールド・グラブ賞を獲得。6番のターナーは、今大会ここまで9番で出場していたが、準決勝までで、10打点を挙げる絶好調ぶりで打順を挙げてスタメン出場。

 対する侍ジャパンは準決勝と同じオーダー。先発には予選ラウンドで好投したベイスターズのエース今永。ゆったりとしたフォームからの150 km/h越えの真っすぐと、わかっていても打てない魔球チェンジアップは、アメリカの強打者とはいえ、初見で打つのは難しいはず。

 決勝まで進出すると予想していたので、月曜の時点で有給取得済み。朝から侍ジャパンの試合が観られる幸せ!

試合内容

123456789R
USA0100000102
JAPAN02010000×3

 今永の立ち上がり、初回はトラウトのポテンヒットが2ベースになってやや不運があったものの、完全に球威で押し込んでおり、引っ張らせないピッチング。一方、アメリカ先発ケリーも真っすぐ、カットボールを低めのコースいっぱいに制球してこちらも安定感のある立ち合がり。

 2回の表、試合が動き始めます。絶好調のターナー相手に、外のカーブと低めの真っすぐのきわどい球がいずれもボールの判定になってカウントを悪くしたところで、真っすぐが甘く入ってしまった…さすがに一流メジャーリーガーは見逃してくれず、レフトスタンドに飛び込むソロホームラン。
 これで勢いに乗ったアメリカ打線。ゴロを打たせているものの、振り切った打球は野手の間を抜けていき、ヒット2本でピンチを招いて上位へ。しかし、さすがは今永ベッツをライトフライに打ち取ってピンチを脱出します。

 この流れのままずるずるいかないのが今大会の侍ジャパン。2回裏先頭のは村上。真ん中付近の真っすぐを完璧にとらえ、外野スタンドの上段席に飛び込むソロホームラン!完全に目覚めた村神様の一発で試合を振り出しに。しかも、ここで終わらなかった。
 続く岡本も昨年後半から取り組んでいるという逆方向へのバッティングで変化球をうまくライト前へもっていき連打。さらに源田が高めの真っすぐを流し打ちしてヒット。中村がきわどい球2球を選んでフォアボールで出塁して1死満塁のチャンス。ここでアメリカは早くも変則左腕ループにスイッチ。
 そのループ相手にヌートバーは簡単に追い込まれたものの、バットを折られながらファースト前に弱い打球を転がして内野ゴロの間に1点を入れて勝ち越し!一発で追いついてつないで勝ち越し!
 

 点を取られた後の回にすぐ逆転できたのが素晴らしかった。にしても、ループは癖の強いピッチャーだった…。普通の左のサイドスローなら外のスライダーで出し入れとイメージするところですが、左バッターのインコースに食い込むツーシームを軸に組み立て来るという…。普通のピッチャーならそんなことしたらデッドボールになるけど、しっかりとストライクを取れる当たりがさすがメジャーリーガーですね!

 3回から侍ジャパンは戸郷にスイッチ。戸郷らしいリズムのいいピッチングで簡単に2死を取った後、フォークを見極められて連続フォアボール。ランナーが2人たまった状態で絶好調のターナーを迎えます。真っすぐに強いターナーに対して、強気の真っすぐ勝負で追い込み、最後は伝家の宝刀フォークボール!三振でピンチを切り抜けます。これで一気に流れが日本に!

 4回、リズムに乗った戸郷がテンポよく3人でアメリカの下位打線を打ち取ると打線にもリズムが。先頭はジャイアンツの岡本。アメリカは前のイニングから登板していた左腕のレギュラーシーズン中も戸郷が投げるとよく打ってくれる頼れる主砲が真ん中に入ってきたスライダーを完璧にとらえてレフトスタンドにソロホームラン!
 昨日損した分のホームランをしっかり打ち直した!左ピッチャーのフリーランド続投でチャンスあるかなぁって思ってたらほんとに打ってくれた!!強化試合の時から、走塁への高い意識を見せるなど、チームのために献身的に野球をしてきた主砲がアメリカラウンドで覚醒した。

 ここからは日本の自慢の投手陣の見せ場。5回からは代表最年少のドラゴンズのホープ、高橋宏斗が登板。先頭のベッツを高いバウンドの内野安打で出すも、トラウトをスプリットで空振り三振、ゴールドシュミットを真っすぐで見逃し三振に取る素晴らしいピッチングで2アウト。しかし、アレナドにはスプリットを見切られてフォアボールを与え、さらにシュワーバーには3ボール0ストライクの大ピンチ。次はターナーなので、何とかシュワーバーからアウトを取りたい。そこで選んだ球種は…ど真ん中154 km/hストレート。20の右腕の気迫が勝り打球は浅いセンターフライ。苦しみながらもなんとかしのぎます。

 6回は伊藤大海。オリンピックでの「追いロジン」でそのメンタルの強さを野球ファンに知らしめた右腕が登板。解説の古田さんが「独特な浮き上がる軌道」と評するスライダーを武器に、下位打線をあっさりとワン・ツー・スリー。きっと近藤さんもニッコリなナイスピッチングで流れを作ります。
するとその裏、この回からマウンドに上がったアダムに対して2死から山田がフォアボールを奪い取ると、すかさず盗塁。これで動揺したのか、3連続四球とアダムが制球を乱し2アウトながら満塁のチャンスを作ってヌートバー。流れを考えるとなんとしてでも得点が欲しいという場面でしたが打球は…定位置へのライトフライ。この大ピンチを脱出して球場内は大歓声。大きなUSAコールが鳴り響く。流れがアメリカ側に動いたことが確かに感じられました。

 苦しい7回、侍ジャパンのマウンドにはジャイアンツの大勢。先頭の代打マクニールに対し、ストレートのフォアボールを与えてしまうとベッツにもショートの頭の上を超えるレフト前ヒットを打たれて無死1,2塁の大ピンチ。打順はクリーンナップにつながっていき、何とか同点までで止められればとファンが考えていたところ、大勢が魂のこもったピッチングを見せます。トラウトをライトライナーに打ち取ると、3番のゴールドシュミットにはフォークボールを打たせてショートゴロダブルプレー!ピンチでも動じない、流石のピッチングで苦しい7回を無失点で切り抜けた!

 8回、侍ジャパンのマウンドにはダルビッシュ有。ここまでくると放送席ももはや野球ファンの集まり。祈るような気持ちで日本中のファンが見守っていた。さすがのコントロールで先頭のアレナドをセンターフライに打ち取るも、シュワーバーに粘られ、10球目の落ち切らないスプリットをライトスタンドへ運ばれます。しかし、流石はダルビッシュ。後続はきっちり打ち取って、9回へバトンを託します。

 そして9回、侍ジャパンのマウンドには大谷翔平。8回裏に打席が回っていればこの場面での登板は難しかったはずだけれど、山田がみんながフォアボールでつないだことで、7回に打席が回ったことで、クローザーとしてマウンドに上がれた。そんなところも含めてさすがは大谷翔平!栗山監督も全幅の信頼を寄せていたのでしょう、吉田に代えてセンターに牧原を入れて守備固め。
 打順は9番から。先頭のマクニールにきわどい球を見極められて先頭にフォアボールを出してしまう。足を使える厄介なランナーを背負ってしまったが、ベッツは2球目を打ってセカンドゴロダブルプレー!
 あとアウト1つの状況で、迎えたバッターはM.トラウト。こんな状況、マンガでも描けない…!フルカウントから 勝負球に選んだのは2009年にダルビッシュが優勝投手となったときと同じ「スライダー」。その球にトラウトのバットは…空を切った。

2009以来のWBC制覇!

 大谷さんが試合前に言った「今日は憧れを捨てよう」という言葉。これは前回の優勝時にイチローさんが口にした言葉らしい。球史に名を残す名選手の魂が確かに受け継がれている。そう感じた瞬間でした。きっと今回の侍ジャパンの雄姿を見て、次の世代の侍ジャパンにも引き継がれていくでしょう。本当に価値のある優勝でした…!

 登板機会がなかった救援陣も、出番のあまり多くなかった野手陣も、記録上は出場はつかなくとも、確かに優勝に貢献していた。信頼できるピッチャー陣がたくさん控えているからこそ、短いイニングでどんどんリリーフをつぎ込めたし、控えの選手もスタメンでも損色ない力があることがわかっているからこそ迷わず選手交代のカードを切れた。
 敬意と感謝の気持ちを込めて、一野球ファンとしてずっと忘れないように、選手とコーチの名前を最後に記します。

 おめでとう侍ジャパン!

優勝メンバー一覧

 

STAFF
89栗山英樹
90白井一幸
77吉村 禎章
87清水 雅治
81吉井 理人
75厚澤 和幸
79城石 憲之
74村田 善則
PITCHER
11ダルビッシュ有パドレス
12戸郷 翔征巨人
13松井 裕樹楽天
14佐々木 朗希ロッテ
15大勢巨人
16大谷 翔平エンゼルス
17伊藤 大海日本ハム
18山本 由伸オリックス
20栗林 良吏広島
21今永 昇太横浜
22湯浅 京己阪神
26宇田川 優希オリックス
28高橋 宏斗中日
29宮城 大弥オリックス
47高橋 奎二ヤクルト
63山﨑 颯一郎オリックス
CATCHER
10甲斐 拓也ソフトバンク
24大城 卓三巨人
27中村 悠平ヤクルト
INFIELDER
1山田 哲人ヤクルト
2源田 壮亮西武
3牧 秀悟横浜
5牧原 大成ソフトバンク
7中野 拓夢阪神
25岡本 和真巨人
33山川 穂高西武
55村上 宗隆ヤクルト
OUTFIELDER
8近藤 健介ソフトバンク
9周東 佑京ソフトバンク
23ラーズ・ヌートバーカージナルス
34吉田 正尚レッドソックス
51鈴木 誠也カブス

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