2022/10/02 Marines VS Hawks これ以下の出来事はない。悪夢の2日間完結。

現地観戦記録

10.2決戦

 この日はZOZOマリンスタジアムでのマリーンズ対ホークス戦の裏で、マジック対象チームのバファローズはKoboスタ宮城でのイーグルス戦が組まれていました。
 マジックは1だけど、優勝へのクリンチナンバーは0.5なのでどちらかの試合が引き分けでもホークスが優勝。つまり、バファローズが勝利かつ、ホークスが敗戦以外の条件だとホークスの優勝が決まる、数字上は依然ホークス優位の状況だったのです…!
 各スポーツニュースは前日に引き続きホークス有利との見方が並び、コメント欄にもホークス優勝を予想する他球団ファンのコメントがあふれていました。

 しかし!僕を含め、ホークスファンは決して楽観視できるような状況ではなかったのです。なぜなら、バファローズの先発はNPB史上最高投手とも呼ばれる山本由伸投手(試合前ですでに投手三冠タイトル確定済)だったもの・・・(しかも休養十分)

 ホークスとしては、自力で勝ちor引き分けでよいものの、相手がロッテだとなんか嫌な予感。
 前日の延長戦と終盤の連戦のせいでリリーフピッチャーが疲労困憊。松本と藤井、モイネロは前日までですでに三連投。抑え込んで勝つイメージも持てないので、打つしかない! ただ・・・前日も松本航投手の前に次々と0を並べた打線(喝!)に期待するのは酷であり、大丈夫かなぁとほとんどのホークスファンは不安でいっぱいだったでしょう。。。

 球場につくと、ホークスファンの多さにびっくり!
チケット購入時には優勝が懸かった試合になるとは夢にも思わなかったので、ゆったり野球を観ようと購入した席はバックネットちょっと三塁側上段席。
当然ホーム最終戦を見に来たマリーンズファンに囲まれるかと思いきや、周りは9割ホークスファン。

 ちなみに、この年のマリーンズはダイナミックプライスでチケットを販売していたため、前日にホークスが敗れた後にチケットが急騰し、1席1万円越えだったそう。(もともとは3000円くらいの席。さすがにやりすぎな気もする~)

試合内容

123456789R
Hawks1001000103
Marines00000320×5

 予想に反し(?)試合はいきなり動きました!マリーンズ先発の小島投手のファーストストライクを完璧にとらえて三森ぐんしが先頭打者ホームラン!相性の良さを如何なく発揮した一撃でホークスが先制。今シーズンのホークスは先制したゲームにめっぽう強く、この先制点はファンにもナインにも勇気を与えました。欲を言えば2番今宮の二塁打を生かしてもう1点欲しかったけれど、十分な

ホークス先発の板東は中7日の板東。2番の藤原の当たりはライトオーバーの長打性の当たりでしたが、けがをおして出場しているキャプテン柳田ぎーたの超ファインプレー。板東投手の唯一ともいえる不安材料の初回を三者凡退で立ち合がりました。

 流れは完全にホークスかと思いきや、2回の守備でサードの周東がゲッツーを焦ってまさかの悪送球。1アウト2,3塁の大ピンチでこれは万事休すかと思いましたが…板東投手が、粘ります。池田をぼてぼてのピッチャーゴロで打ち取って一塁に送球すると、なんということでしょう、三塁ランナーの井上選手が飛び出している。冷静に三本間に挟んで併殺完成!
 これは難しいプレーですが、2塁ランナーの山口選手のミスでしょうか。井上選手は一瞬ホームに突っ込むような仕草を見せていましたが、すぐに三塁方向に戻っていったこと、そして打球がやや一塁側に転がっていたことを考慮すると、二塁ランナーとしては止まっていてほしいのかなという印象でした。
 ともかく、まずい攻めで流れもきっとホークスにくるはず!

すると4回、今度は柳田がバットで見せる!代名詞ともいえる逆方向へのホームランで1点を追加。2夜連続の貴重な一本でキャプテンの意地を見せました。今日は勝てる、そんな雰囲気が球場を覆っていました。

 先発の板東投手は、4回は無死1,2塁のピンチを招くも後続を三人できり、5回は先頭を出すも松川の当たりがゲッツーとなり、得点を許しません。毎回ランナーを許し、ピッチング内容は決して良くないものの、流れを変えたくないため、交代のタイミングが難しいなと思わせる内容で、前半を投げ切りました。

 そしてここで、同時刻にプレーボールだった仙台では、イーグルスが2点を先制。マリンスタジアムではリアルタイムで他球場の速報がレフトのビジョンに表示されるため、きっと選手たちの目にも入っているはず。ナインはきっとプレッシャーから解放されてさらに勢いに乗る…はずでした。

 雲行きが怪しくなったのはここから。ホークスは6回マウンドに上がった岩下投手の前にあっさり三者凡退。ここで、藤本監督もピッチャー交代。まぁ仕方がないかと思いつつ誰がコールされるかと思っているとなんと泉投手いずみん。前の回の同じ打順で連打を食らっていることから考えて交代させたい気持ちはわかるけど…。正直ちょっと嫌な予感のする起用でしたが、この予感が大当たり。

 2塁打のあと恒例の四球で1死1,2塁のピンチを招くと、山口が胸元どころか顔付近の高さのくそボールをとらえ打球は逆方向へ。行くな、行くな、超えるなぁぁ…(以下略)
 二夜連続の悪夢にファンも選手も呆然。まあ、オリックスが負けてくれればと思ってレフトのビジョンに目をやると…速攻逆転してました。笑

 いよいよV逸が現実味を帯びてきた中、7回にマウンドに上がった甲斐野はやっぱりストライクが入らず、2四球でピンチを招くと、今期はおとなしかったはずのホークスキラー中村奨にタイムリーを食らう。ここでピッチャーを嘉弥真にスイッチ。しかし、安田にも外角スライダーを拾われてしまい、2点を献上。
 うーん、ここで嘉弥真を投入するなら1番高部のところから代えてほしかった。東京ドームの鷹の祭典でも嘉弥真投手は安田選手に同じ形でタイムリーを打たれており、確実に適応してきているので、来シーズン以降の起用法を考えた方がいいかもしれませんね。

 敗色濃厚な雰囲気が漂う中、8回2死からホークスが意地を見せます。牧原大ジョーカーがエラーで出塁すると、柳田キャプテンが左中間を破るタイムリーツーベース。さらに、振り逃げと四球という執念しか感じない内容で満塁のチャンスを作って打席にグラシアル。ここで打ってくれればいろんな人が救われる。そんなヒーローになるにふさわしい男、ナイスガイ・グラシアルの打球は…平凡なショートゴロ。

 9回はオスナの前になすすべなく、簡単に2アウト。ここで、仙台のゲームは終わり、オリックスが勝利。この回逆転できなければ優勝がなくなってしまう。最後の打者三森の打球は力のないセカンドフライ…。ああ、悪夢が現実に…。

 何が起こったかわからない、そんなまさかの終戦。試合後、応援団の挨拶に向かうとき、遠目からでもわかるほど、呆然とている選手たち。特に、泉投手は両脇を支えられないと歩けないほどに泣き崩れていました。
 そんなホークスナインに対し、三塁側を埋め尽くしたホークスファンから大きな拍手が。コロナウィルス対策で声は出せないけれど、苦しいシーズンで最終戦まで優勝争いができた、あとほんおもう一歩優勝というところまで戦ったナインを称える気持ちのこもった、温かい拍手でした。

井口監督の退任セレモニー

 この日はマリーンズにとってのシーズン最終戦でもありました。最終戦セレモニーの挨拶に出てきた井口監督に対し、ライトスタンドからはまさかのブーイング。今シーズンのマリーンズはマーティンとレアードの絶不調、セットアッパー佐々木の離脱など、これでもかというくらい誤算だらけであった中、7月末までは優勝圏内でぴったりついていて、最終結果の借金4はそれほどひどい数字ではなかったと思うのですが…。
 2021年シーズンに優勝目前まで行っただけに期待が大きかったのかもしれませんね。

 スピーチの中で、今年の5位に終わった結果は私の責任ですと言い切った井口監督、その次に出てきた言葉は…今シーズン限りでの辞意を表するものでした。2025年までの長期契約を結んでいたことが知られていた井口監督のまさかの辞任発表に、内野スタンドからは悲鳴にも似たどよめき、ライトスタンドからは歓声のようなどよめきが。
 それを聞いた井口監督の表情には少しあきれたような、しかしとってもすっきりしたような笑みを浮かべているようでした。カメラに抜かれるたびに険しい表情であった井口監督の笑顔はとても久しぶりで、監督という立場で大きな心労の中戦ってきたことを思わせるものでした。

終了後の選手コメント

 試合後、ホークスの公式YouTubeを見ると、柳田キャプテンの円陣の映像が。
「ダメやったら全部俺のせいで。俺が責任取って!こんなん(←キャプテンマーク)破り捨てるぅー!!俺のせいにしろ!!!死ぬ気で行くぞ!!」 
 カッコよすぎる。前日の嫌な雰囲気を吹きとばして、ナインの意気を最大まで上げる、最高の声出し。教科書に載せたいくらい完璧じゃないですか!?間違いなく、これが先頭打者ホームランにつながったのでしょう!

 そんな映像を見た後だったからこそ、試合後のニュース記事で柳田選手のコメントには心を打たれました。

「俺がもっと打っていれば勝てた」

 その言葉はきっと本心でしょう。開幕から不調に苦しみ、.275 24本という成績は前年までと比較すると確かに物足りないものだったのかもしれません。ただ、けがを押して出場した最後2試合、起死回生の同点ホームランに、いやな流れを断ち切るホームラン、劣勢からの反撃のタイムリー、守備でのファインプレーと躍動したその姿は、超一流の選手であることの証でした。結果は残念でしたが、きっとホークスファンの心にずっと残る名シーンになるのではないでしょうか。

 選手会長の今宮選手のコメントには「何かが足りなかった」とコメントが。きっとこれはファンも感じていたことではないでしょうか。今シーズンのホークスは本当によく頑張っていた、苦しいシーズンの中でもなんとか食らいついて優勝に指がかかるところまでたどり着いていたのだけれど、あと一歩のところでことごとく上手くいかなかった…。終わってから思えば、京セラでの最後のバファローズ戦で3タテを食らったのは、今シーズンのホークスを象徴していました。

 大切な場面で流れをことごとく失った。それは力不足もあるのかもしれませんが、それ以上にツキがなかったことが痛かった。そう感じさせられるシーズンでした。
 ホークスの優勝への道を阻む幕張防波堤は今年も高かった…。

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